障害者支援施設とグループホームの違いとは?対象者・費用・入所手続きをわかりやすく解説
皆さん、こんにちは。長崎県西海市にある障害者支援施設こざくら学園です。
『障害者支援施設とグループホームの違いがよくわからない』
『家族の今後の生活を考えるうえで、どちらを選べばよいのか迷っている』
私たちのもとには、日々多くのご家族や関係者の方々からこのようなご相談が寄せられています。
障害のある方やそのご家族にとって、生活の場を選ぶことはとても重要な決断です。最近では、障害者福祉サービスが多様化し、選択肢が広がってきた一方で、制度やサービス内容が複雑でわかりにくいと感じる方も少なくありません。
特に「障害者支援施設」と「グループホーム」は、どちらも生活を支援する施設ですが、支援の内容や目的、対象となる方の状況などが大きく異なります。正しく違いを理解し、それぞれの特徴を知ることで、ご本人にとって最適な環境を選ぶことができます。
このブログ記事では、障害者支援施設とグループホームの違いについて、できるだけわかりやすく、具体的な事例も交えながら詳しく解説していきます。施設利用を検討されている方、ご家族、関係者の皆様の参考になれば幸いです。
障害者支援施設とグループホームの違いを一言で説明すると?
結論からお伝えすると、障害者支援施設は、生活のすべてを包括的にサポートする「手厚い支援の場」。グループホームは、自立を目指しながら日常生活を送るための「地域での暮らしの場」という違いがあります。
障害者支援施設は、重度の障害をお持ちの方や、日常生活の大部分において介護や見守りが必要な方が、24時間体制の支援を受けながら安心して暮らせる施設です。
食事、入浴、排せつ、服薬管理、健康管理など、生活全般にわたる支援が提供され、医療的ケアを必要とする方も受け入れ可能なケースが多いのが特徴です。いわば「生活全般を任せられる安心の居場所」と言えるでしょう。
一方、グループホームは、障害のある方が地域社会の中でできるだけ自立して暮らしていけるように支援する小規模な住宅型の施設です。世話人や生活支援員のサポートを受けながら、食事や掃除、洗濯、金銭管理など、日常生活の中で必要な部分をサポートしてもらいながら暮らします。
基本的には少人数で共同生活を送り、日中は就労支援事業所や通所施設に通うなど、社会参加の機会も多く持つことができます。こちらは「できるだけ自分らしい暮らしを目指す住まい」と表現できます。
このように、どちらの施設も障害のある方の生活を支える大切な場所ですが、支援の度合いや生活スタイル、目的に明確な違いがあります。利用するご本人の障害の程度や生活能力、希望する生活スタイルによって、どちらが適しているかが変わってくるのです。
利用できる対象者の違い
障害者支援施設とグループホームとでは、利用できる対象者に違いがあります。
それぞれ、どのような違いがあるのか下記で詳しく解説します。
障害者支援施設の主な対象者
障害者支援施設を利用できる方は、基本的に重度の身体障害、知的障害、精神障害をお持ちの方が中心となります。たとえば、日常生活のほとんどを他者の介助に頼らなければならない方や、常に見守りや介護が必要な方が多く利用されています。
さらに、ご家族が高齢で介護を続けることが難しくなった場合や家族構成の事情で在宅介護が困難になった場合にも、障害者支援施設が生活の場として選ばれることが少なくありません。
また、障害の程度に関わらず、医療的ケアが必要な方も多く利用しています。
たとえば、胃ろうや気管切開、たんの吸引、在宅酸素療法などが必要なケースでも、看護師や医療スタッフの支援を受けながら安心して暮らすことができる施設も存在します。
つまり、障害者支援施設は、日常生活全般のサポートが必要な方にとって、長期間にわたって安定した生活を送ることができる「安心の暮らしの場」となっています。
グループホームの主な対象者
一方で、グループホームの対象となるのは、 知的障害・精神障害・軽度から中度の身体障害 をお持ちの方が中心です。比較的、日常生活の中で身の回りのことがある程度自分でできる方、自立に向けた生活を希望する方に向いています。
たとえば、食事や洗濯、掃除などの日常動作をスタッフのサポートを受けながらでも一定程度自分で行える方が多く利用されています。
また、障害はあるものの、地域の中で普通の生活にできるだけ近い形で暮らしていきたいという希望を持っている方にとって、グループホームは理想的な住まいとなります。家庭的な雰囲気の中で少人数で生活しながら、必要な支援だけを受け、社会の一員としての暮らしを目指していくのがグループホームの大きな特徴です。
さらに、多くの方は日中に就労支援事業所に通ったり、地域の活動に参加したりと、社会参加を積極的に行っています。つまり、 完全な介護が必要というよりも「少しのサポートがあれば自分らしい暮らしができる人」 が、グループホームの主な利用対象者といえます。
利用料金・負担額の違い
障害者支援施設とグループホームでは、支援の内容や生活形態が違うため、利用料金や自己負担額にも違いがあります。
ただし、どちらの施設でも基本的には 障害者総合支援法に基づき、公費負担制度が適用される ため、自己負担が全額となるわけではありません。
障害者支援施設の費用
障害者支援施設では、サービス利用料は原則として利用者負担が1割負担 となります。
ただし、所得に応じて月額の上限負担額が設定されており、低所得世帯ではさらに自己負担が軽減されます。施設入所支援や生活介護のサービス費用がこれに該当します。
また、生活にかかる食費・光熱費・日用品費・理美容代などは実費負担となります。施設費用に含まれている部分もありますが、食事代や水道光熱費などは利用者が個別に負担します。
さらに、必要に応じて医療費も別途自己負担になる場合がありますが、公的医療保険が適用されます。
グループホームの費用
グループホームでも、サービス利用料は基本的に1割負担で、公費による支援を受ける仕組みになっています。障害支援区分や所得区分によって負担の上限額が定められており、こちらも低所得者に配慮された制度設計となっています。
グループホームの特徴的な費用としては、家賃負担があります。施設費として徴収される障害者支援施設とは異なり、グループホームでは一般の賃貸住宅と同様に「家賃」という形で費用が発生します。
ただし、自治体から特定障害者特別給付費や家賃助成制度などの補助金を受けられる場合も多く、実際の家計負担は軽減される仕組みになっています。
食費や光熱費、日用品費、通院の医療費、娯楽費用などは 自己負担 となりますが、障害者支援施設と大きく違うわけではありません。負担項目は似ていても、「施設の性格上、家賃という項目があるかないか」が大きな違いです。
費用項目 | 障害者支援施設 | グループホーム |
利用料 | 原則1割負担(世帯収入に応じ上限あり) | 原則1割負担(世帯収入に応じ上限あり) |
食費・光熱費 | 実費(1日1,000~1,500円) | 実費(1日1,000円前後) |
家賃 | 施設費に含まれる | 家賃として発生(公的補助あり) |
その他の費用 | 医療費、日用品費、理美容代など別途負担 | 医療費、日用品費、理美容代など別途負担 |
※ 実際の金額や助成制度は、自治体や施設ごとに細かな違いがありますので、事前の相談・確認が大切です。
入居までの流れと相談先
障害者支援施設やグループホームを利用するためには、いくつかの手続きや準備が必要です。
ここでは、実際にどのような流れで入居を進めていくのかを、できるだけ分かりやすくステップごとにご紹介します。
ステップ1:まずは相談支援専門員に相談する
入居を検討し始めたら、まずは お住まいの市区町村の障害福祉課や地域の相談支援事業所にいる「相談支援専門員」に相談することが最初の一歩です。
相談支援専門員は、障害者福祉サービスに関する専門的な知識を持つ支援のプロで、利用者の状況や希望を丁寧に聞き取りながら、どの施設が適しているのか、どのサービスが必要なのかを一緒に考えてくれます。
- 障害の程度
- 現在の生活状況
- 将来の希望(施設入所か地域生活か)
- 家族の支援状況
といった情報をもとに、個別にアドバイスを受けることができます。最初の段階では「どちらが自分に合っているのか分からない…」という漠然とした状態でも大丈夫です。気軽に相談することから始めましょう。
ステップ2:障害支援区分の認定を受ける
施設利用には「障害支援区分(旧:障害程度区分)」の認定を受ける必要があります。これは、国が定めた一定の審査基準に基づき、日常生活にどれくらいの支援が必要なのかを判定する制度です。
支援区分は1~6までの段階があり、区分が高いほど重度の障害と認定され、より多くの支援サービスが利用できる仕組みになっています。支援区分の申請は、市区町村の障害福祉窓口で行います。調査員が本人や家族に聞き取り調査を行ったり、主治医の意見書なども参考にしながら区分が決定されます。
ステップ3:サービス等利用計画の作成
障害支援区分が決定すると、次に「サービス等利用計画」を作成します。これは、今後受けるサービスの種類や支援内容を具体的にまとめた「生活の設計図」のようなものです。
利用者本人や家族、相談支援専門員が話し合いながら作成します。
この計画書をもとに、市区町村が正式にサービス利用を認める「支給決定」を出します。支給決定が出ると、施設入所やグループホーム入居に向けた準備が本格的に進んでいきます。
ステップ4:施設の見学・面談
実際にいくつかの候補となる施設を 見学・面談します。パンフレットやインターネットの情報だけでは分からない、施設の雰囲気、職員の対応、入居者の様子などを実際に自分の目で確認できます。
- スタッフの対応は親切か
- 食事やレクリエーションはどうか
- 医療体制は整っているか
- 他の利用者との相性は良さそうか
- 建物の設備や居室の広さはどうか
など、細かい部分も含めて、実際に足を運んで確認しておくことで、後の入居後の生活がより安心なものになります。
施設によっては、体験入所(短期間だけお試しで利用する制度)を実施している場合もあります。迷っている場合は積極的に体験利用を申し込んでみるのもおすすめです。
ステップ5:入居申請と空き状況の確認・調整
見学や面談を経て「ここに入居したい」という施設が決まったら、いよいよ入居申請を行います。
ただし、多くの施設では常に空きがあるとは限りません。特に障害者支援施設は待機者が多いこともあるため、希望施設の空き状況を早めに確認しておくことが大切です。
入居までの待機期間中は、相談支援専門員と連携しながら、他の一時利用サービスや短期入所(ショートステイ)なども活用できる施設があります。状況によっては、複数の施設を候補に挙げて並行して検討するケースもあります。
ステップ6:入居前の最終確認・契約手続き
入居が決定すると、施設側と最終的な重要事項説明・契約手続きに進みます。
ここでは、利用料金、利用規約、支援内容、緊急時対応、健康管理など細かな部分まで説明があります。十分に納得した上で契約書にサインし、入居準備に入ります。
この時点で、必要な書類(診断書、保険証、印鑑など)の準備も必要になりますので、事前に施設側と確認しておきましょう。
まとめ:大切なのは「その人に合った生活スタイル」
グループホームと障害者支援施設の違いについて、できるだけ分かりやすくお伝えしてきました。違いがなんとなく見えて来たでしょうか?
障害者支援施設もグループホームも、どちらが「優れている」ということはありません。それぞれの施設には、それぞれの良さがあります。
大切なのは、その方の障害の状況・希望・ご家族の想いに合った環境を選ぶことです。
障害のある方が少しでも安心して、その人らしく幸せに暮らせる環境づくりを、私たちこざくら学園も全力でお手伝いしてまいります。まずは、気になる施設を見学したり、相談してみることから始めてみましょう。一歩踏み出すことで、新しい可能性が広がるかもしれません。
こざくら学園の運営内容は、生活介護(日中)、施設入所支援(夜間)を通じて24時間(入所施設)体制で、サービスを提供しています。
また、共同生活援助(グループホーム)の運営をしています。
障害者支援施設をご検討の方は、こざくら学園までお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせは ☎0959320870 ✉ info@kozakura.cc