障がいのある方々が、地域の中で安心して自分らしい暮らしを送るための仕組みのひとつに「グループホーム(共同生活援助)」があります。近年は、地域共生社会の実現に向けて、施設ではなく地域の中で支援を受けながら暮らすスタイルが注目されており、グループホームはその中心的な役割を担っています。
グループホームは、単に「住む場所」を提供するだけではなく、生活の中で必要なサポートを受けながら、少しずつ自立を目指す場でもあります。入浴や食事の介助、相談支援、そして社会との関わりを育む活動など、さまざまなサポートを通して“暮らしの力”を育むことを目的としています。
社会福祉法人さくら会「こざくら学園」でも、障がいのある方々が地域の中で安心して生活できるように支援を行っており、その中でも「介護サービス包括型グループホーム」を中心に運営を行っています。本記事では、グループホームの基本的な仕組みから、こざくら学園ならではの取り組みまでをわかりやすく紹介します。
グループホームとは?

グループホームとは、障がいのある方が地域の中で少人数で共同生活を送りながら、職員の支援を受けて安心して暮らすための住まいのことです。
正式には「共同生活援助」と呼ばれ、主に夜間を中心に入浴・排せつ・食事などの日常生活のサポートや相談支援を行います。
利用者それぞれが無理のないペースで自立を目指し、地域の一員として生活を続けていけるよう支援することを目的としています。
グループホームの特徴は、「施設」ではなく「地域での暮らし」であることです。大規模な入所施設のように職員が常時そばにいる環境ではなく、家庭的な雰囲気の中で、仲間と一緒に食卓を囲み、掃除や洗濯を分担するなど、一般的な家庭生活に近い形で過ごします。そのため、入居者同士の関係性も自然で温かく、まるで「もう一つの家族」のような絆が生まれやすい点も魅力です。
また、グループホームの役割は生活の場の提供だけではありません。障がいの特性に応じて、生活リズムの安定や健康管理、金銭管理のサポート、社会参加の機会づくりなども行われます。
スタッフは単なる介助者ではなく、一人ひとりの人生に寄り添うパートナーとして、利用者の「その人らしい暮らし」を一緒に考えていく存在です。こうした継続的なサポートにより、将来的により自立的な生活へとステップアップしていくことが期待されます。
グループホームの主な支援は「夜間」

グループホームの大きな特徴は、「夜間や休日の支援を中心に行う」という点です。平日の日中は多くの利用者が、就労継続支援B型事業所などの日中活動先に通所します。
そして夕方以降、自分の“住まい”であるグループホームに帰り、職員の支援を受けながら入浴・食事・就寝といった生活を送ります。このように、グループホームは「夜の安心」を支える場所とも言えます。
夜間支援には次のような意味があります。
- 入浴や排せつなど、身体介助が必要な時間帯をサポート
- 食事の準備や服薬確認など、生活習慣の維持を支援
- 体調変化や不安などがあったときに相談できる体制を確保
- 休日や夜間も一人にならず、仲間や支援者と安心して過ごせる
夜間支援は単なる身体介助だけでなく、精神的な安定を提供する重要な役割も持っています。
例えば、夜中に体調が悪くなった場合や不安を感じたときに相談できる環境があることは、入居者の安心感につながります。
また、緊急時には職員がすぐに対応できるため、家族も安心して任せられます。こうした夜間の支援は、生活リズムの維持や心身の健康、そして自立への基盤づくりに欠かせないものです。
グループホームの3つのサービス類型
グループホームには、支援内容や対象者の状況に応じて大きく3つのタイプがあります。
①介護サービス包括型、②日中サービス支援型、③外部サービス利用型です。それぞれの特徴を理解することで、利用者や家族が最適な選択をする助けになります。
① 介護サービス包括型
グループホームの職員が、入浴・排せつ・食事などの介護を含めた生活支援を直接行うタイプです。夜間や休日に介助が必要な方でも安心して暮らせます。掃除や洗濯、生活相談、通所先との連携、夜間の見守りまで一貫した支援を提供します。重度の障がいがある方や継続的な介助を必要とする方に適しており、生活全般のサポートを受けながら自立を目指すことができます。
② 日中サービス支援型
夜間だけでなく、日中もホーム内で職員による支援を受けられるタイプです。外出や通所が難しい方に向け、生活リズムに合わせた支援をホーム内で受けられます。体調に応じた柔軟な対応や趣味活動、社会参加の機会も提供されます。
③ 外部サービス利用型
ホーム職員は家事や相談支援を中心に行い、入浴・食事・排せつなどの介護部分は外部サービスを利用します。比較的軽度の方、夜間の支援を多く必要としない方に適しており、自立度に応じたサポートが可能です。
これらのサービス類型は、入居者の障がい支援区分や生活リズムに合わせて柔軟に選択できます。利用者は自分に合った支援を受けながら、地域の中で安心して暮らすことができます。
こざくら学園は「介護サービス包括型」

社会福祉法人さくら会 こざくら学園のグループホームは、この中でも 「介護サービス包括型」 に分類されます。
つまり、夜間の入浴・排せつ・食事介助なども職員が直接行い、生活全体をしっかり支える体制が整っています。
包括型は、生活支援と介護を一貫して提供できるため、重度の方や介助が継続的に必要な方でも安心して暮らせる環境です。
包括型を選ぶメリットは大きく三つあります。まず、夜間の安心感です。何かあったときにすぐに相談でき、支援員が見守ってくれるため、安全に過ごせます。次に支援の一貫性。
介護も生活支援も同じスタッフが担当することで、利用者一人ひとりの性格や体調に合わせたきめ細やかなサポートが可能になります。最後に、将来的な重度化や高齢化への対応力です。住み慣れた場所で生活を続けながら、必要に応じた支援を受けられるため、生活環境の安定を保てます。
さらに、こざくら学園では包括型の特性を活かし、利用者の自立支援にも力を入れています。掃除や調理、洗濯といった日常生活スキルの向上だけでなく、地域活動への参加や社会交流を通して、安心しながらも社会性を育む機会を提供しています。
スタッフは単なる介助者ではなく、利用者一人ひとりの生活パートナーとして寄り添い、暮らしの質を高めることを大切にしています。
平日・休日の生活の流れ
平日日中は、多くの利用者が 就労継続支援B型事業所 などに通所します。日中は外で活動し、仕事や作業を通して社会参加やスキル向上を図ります。夕方になるとホームに戻り、職員の支援のもとで入浴や食事、団らんの時間を過ごします。就寝前には服薬の確認や体調チェックも行い、安心して夜を迎えられる体制が整っています。
日中活動で疲れて帰宅した後も、家庭的な雰囲気の中でリラックスしながら生活できるのが特徴です。また、入居者同士で趣味やゲーム、会話を楽しむ時間も設けられ、社会的交流の場としての役割も果たしています。こうした日常のリズムを繰り返すことで、心身の安定や生活習慣の定着につながります。
土日や祝日は基本的にホームで過ごしますが、近隣への買い物や散歩、簡単なレクリエーションなど、利用者の希望に合わせた活動も取り入れています。趣味活動や創作、体を動かす時間など、楽しみながら生活リズムを維持できるよう工夫されています。休日も仲間やスタッフと過ごすことで孤独感を軽減し、心身の健康を保つことができます。
こざくら学園の特色

こざくら学園では、単に生活を支援するだけではなく、「人とのつながりを大切にする」ことを重視しています。
季節ごとのイベントや行事を定期的に開催し、保護者や地域の方々、ボランティアも参加できる催しを行うことで、ホームを開かれた場所として活用しています。
イベント例としては、夏祭りやクリスマス会、地域清掃や交流会、利用者の作品展示・発表会などがあります。こうした活動を通して、利用者は社会との関わりを持ち続けることができ、日常生活の中で達成感や自己肯定感を育むことができます。また、保護者や来賓の方々に日々の取り組みを報告することで、安心して任せられる信頼関係も築かれています。
さらに、こざくら学園では、利用者の個性や希望を尊重した支援を徹底しています。趣味や特技を活かした活動への参加、体調や気分に応じた柔軟な対応、仲間同士のコミュニケーションの促進など、地域に根ざした生活の質を高める工夫が随所に見られます。
これにより、入居者は「安心できるもう一つの家」としてのグループホームで、穏やかに、充実した生活を送ることができます。
生活スキル向上支援
こざくら学園では、入居者の自立支援を重視し、日常生活に必要なスキル向上を支援しています。掃除・洗濯・調理など、家庭生活で必要な作業をスタッフと一緒に行うことで、生活能力を少しずつ身につけることができます。これにより、利用者は「自分でできること」を増やす喜びを感じながら、自己肯定感や自立心を育むことができます。
また、金銭管理やスケジュール管理などの生活習慣の支援も行われます。例えば、買い物時に予算を考える練習や、日々の活動予定を確認することで、計画性や社会生活への適応力が自然と養われます。これらのスキルは、ホーム外の生活や将来の自立にも役立つ重要な経験です。
さらに、個別の目標に応じて支援プランを作成し、達成度や課題を定期的にスタッフと振り返ることで、生活の中での成長を実感できる仕組みを整えています。こうした丁寧なサポートにより、入居者は安心しながら少しずつ自立した生活力を高めていくことができます。
社会参加と地域交流
こざくら学園では、利用者が地域社会とつながる機会を大切にしています。季節ごとの行事や地域イベントへの参加、地域ボランティアとの交流などを通じて、社会との関わりを維持しながら生活できる環境が整っています。これにより、孤立感を防ぎ、日常生活の中で多様な体験を重ねることができます。
また、学校や就労支援事業所との連携も密に行っています。日中は外での活動や仕事を通じて社会経験を積み、ホームに戻ってからはスタッフや仲間と振り返りを行うことで、社会参加と生活スキル向上が一体となった支援が実現されています。これにより、利用者は地域の一員としての役割や責任を感じながら暮らすことができます。
さらに、こざくら学園では作品展示や発表会などを定期的に開催し、入居者の成果や成長を保護者や地域の方々に共有しています。こうした取り組みは、利用者自身の達成感を高めるだけでなく、地域社会とのつながりを深める重要な機会となっています。
安心の見守り体制
グループホームでは、夜間だけでなく日中も安心して生活できる見守り体制が整っています。こざくら学園では、職員が常勤で配置され、体調の変化や緊急時の対応、日常生活での相談支援をきめ細かく行っています。入居者は一人で不安を抱えることなく、必要なときにすぐ相談できる環境が確保されています。
さらに、生活リズムの安定や健康管理も重要な支援のひとつです。食事や服薬管理、体調チェックを日常的に行うことで、健康状態の維持と生活の質の向上につなげています。また、定期的な面談や報告会を通じて、利用者・スタッフ・保護者間で情報共有を行い、安心感と信頼感のある関係を築いています。
このような見守り体制により、利用者は安心して自分のペースで生活しながら、必要に応じた支援を受けることができます。グループホームは単なる「住まい」ではなく、入居者の安心と自立を支える生活の基盤として機能しているのです。
まとめ
グループホームは、「住まい」と「支援」を組み合わせた障がいのある方のための生活の場です。その中でも、こざくら学園が行っている 介護サービス包括型のグループホーム は、夜間・休日を中心に生活全般をしっかり支える体制が整っています。
平日は日中活動を行い、夜は安心できる住まいで過ごす。休日は仲間や職員とゆったりした時間を楽しむ。そんな「地域の中で安心して暮らす」日常が、ここにはあります。社会福祉法人さくら会 こざくら学園では、これからも一人ひとりの個性やペースを大切にしながら、地域に根ざした支援とあたたかな暮らしを提供してまいります。
こざくら学園の運営内容は、生活介護(日中)、施設入所支援(夜間)を通じて24時間(入所施設)体制で、サービスを提供しています。
また、共同生活援助(グループホーム)の運営をしています。障害者支援施設をご検討の方は、こざくら学園までお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせは ☎0959320870 ✉ info@kozakura.cc